フィットネスジムを開業する際には、店舗物件の選び方など、他の業種とは異なって注意しなければいけないポイントなどがあります。この記事ではフィットネスジムの開業準備は何をすれば良いか、形態の決め方や、店舗物件を探す際の注意点、必要な届出などを解説します。
ジムの形態・コンセプトを決める
ひとくちにフィットネスジムと言っても、形態によって開業に必要な資金や注意すべきポイントが異なります。また、店舗を探す際の立地条件や開業後の運営方針も、店舗のコンセプトに大きな影響を受けます。開業資金を調達する際、金融機関から融資を受ける場合は事業計画の提出が必要です。後々の作業に支障が出ないよう、店舗の形態とコンセプトは最初にしっかりと決定しましょう。
無人型
マシンの利用が主な目的であり、24時間営業する店舗も多い形態です。24時間無人で営業するタイプや日中はスタッフが常在するタイプなど、同じ形態でも店舗によって様々なタイプに分かれます。店舗の改装やマシンの購入などで初期費用がかかるものの、開業後は人件費が抑えられるため、運営を続けやすいのが特徴の形態です。
パーソナル型
トレーナーによる指導をサービスの主軸にした形態です。ヨガやストレッチなどのマシンを必要としない運動をメインに据える店舗もあり、施設に必要な費用を抑えられる傾向にあります。しかし、集客のためにはトレーナーの実力が必要なため、運営の難易度は高めです。
目安金額を把握し、開業資金を調達する
無人型の目安は約2,000万円~3,000万円
無人型の店舗の場合は、開業費用の大半がマシンなどの設備費に充てられます。また、店舗に広いスペースが必要であるため家賃が高くなったり、マシン設置の際に床の補強や防音対策で内装工事費がかかったりと、内装工事費も高くなりがちです。
パーソナル型の目安は約300万円~500万円
パーソナル型の場合は大きなマシンを導入する必要がないため、開業時の設備費や内装工事費を大きく抑えられます。しかし、運営が軌道に乗るまでもトレーナーに支払う給料は必要であり、人件費などの運転資金はしっかりと見積もっておかなければいけません。
物件を探し、内装デザインを決めて工事する
フィットネスジムの開業においては、物件探しの際にも注意すべきポイントがあります。開業後に建物に傷を付けたり、近隣に迷惑をかけたりすることのないよう、注意点を把握してから物件探しを始めましょう。
防音性能を確認する
フィットネスでマシンを使用したり、利用者が激しく動く際には大きな音が発生します。フィットネスジムを開業する際は、鉄骨の周囲に鉄筋を組みコンクリートで固めた「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」や、鉄筋とコンクリートで支える「鉄筋コンクリート造(RC造)」の建物が適しているでしょう。鉄骨で支えただけの「鉄骨造」や木造の建物では防音性能が低く、近隣との騒音トラブルが発生することも考えられます。
床の耐荷重を確認する
耐荷重とは、床がどのくらいの重さに耐えられるかを表したものです。例えば、マンションでよく見られる「180㎏/1㎡」の表記は、「1平方メートルあたり180キログラムまでの重さに耐えられる」ということになります。フィットネスジムでは重量のあるマシンを設置する場合もあるため、「300kg/1㎡」程度の耐荷重は必要となるでしょう。
床材を確認する
フィットネスジムでは、マシンの重量で床にへこみができたり、トレーニングによる動きで床に傷がついたりすることがあります。賃貸物件で床材を変更できない場合には、マットを敷くなどの対策も必要となります。
資格を取得する
フィットネスジムの営業にあたっては、国で決められた資格などはなく、無資格で営業しても問題はありません。しかし、パーソナル型の店舗の場合、競合店との違いを打ち出したり顧客を獲得したりするためにはトレーナーの実力を示せる指標が必要となります。「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー」や「NSCA認定パーソナルトレーナー」などのトレーナー資格を取得するのも良いでしょう。
届出を出す
個人事業主として開業するなら、開業した日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を納税地の税務署に提出しなければいけません。また、都道府県税事務所へ「個人事業開始申告書」を提出する必要もあります。さらに、確定申告の際に青色申告を選択する場合は、納税地の税務署へ開業日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要もあります。
まとめ
フィットネスジムの形態には無人型とパーソナル型があり、設備費などの開店に必要な準備資金や人件費などの運転資金が異なります。
フィットネスジムの店舗物件を選ぶ際には、防音性能などや床の耐荷重、床材の傷つきやすさなどに気を付けなければいけません。