店舗の内装デザインに深く関わる内装材ですが、その種類や特徴を把握している方は少ないのではないでしょうか。そこでこの記事では、特に内装に使用されることの多い素材を紹介し、特徴を解説します。
内装材とは
内装材とは建物の天井や壁、床などに使う材料です。大きく分けると「下地材」と「仕上げ材」の2つに分かれますが、総称して内装材と呼ばれます。
下地材は、仕上げ材を施工するための下地となる素材です。天井や壁、床の強度を上げたり、防音や断熱などの機能性を高めたりする目的もあります。
一方で、仕上げ材は内装の表面に施工し、デザインにも関わる素材です。近年では汚れが落ちやすい防汚性に優れた素材や、調湿性が高い素材などが登場しており、予算や目的に合わせた素材を選択できます。
下地材の種類と特徴
構造用合板(ベニヤ板)
薄い板が張り合わされた素材で、「ベニヤ板」と呼ばれることの多い素材です。柔軟性が高くさまざまな方向からの力に強い、厚さやサイズが豊富、値段が安価などのメリットが多数あります。しかし、木材であるため燃えやすく、不燃処理が必要となる点がデメリットです。
プラスターボード(石膏ボード)
石膏や石灰を主成分とする板状の素材を特殊な板紙で包んだ下地材で、表面に化粧加工を施せば仕上げ材として使用することも可能です。加工がしやすいため天井や壁、床など多くの場所に使用でき、断熱性や防火性にも優れてます。
パーティクルボード
植物繊維質の小片(パーティクル)に接着剤を塗布し、圧縮加工して1枚の板にした木材です。厚さやサイズを自由に調整できるうえ、天然木にあるような反りや割れが起きにくいメリットがあります。しかし、他の木材より強度が弱く長時間の荷重で変形しやすい、湿気に弱いなどのデメリットもあります。
グラスウール
ガラス繊維を主原料とする人工繊維(グラスウール)を利用した素材です。リサイクルガラスから製造され、建物を取り壊す際には不要になったグラスウールをまた原料として使用できるため、環境への配慮の点からも使用されることが多くなっています。断熱性、不燃性、防音性に優れており、シロアリ対策にも使用されるなどメリットの多い素材です。しかし、繊維の細かさによって防音や断熱の性能が変わるため、高性能のグラスウールを使用したい場合、費用が高くなるデメリットがあります。
仕上げ材の種類と特徴
フローリング
樹木から製造され、床の仕上げ材として非常によく使われる仕上げ材です。樹木から切り出した無垢材を使用した「単層フローリング」と、化粧加工した木材を使用した「複合フローリング」の2種類に分かれます。
単層フローリングは天然素材の香りや質感、温かみに優れた素材です。しかし、複合フローリングよりも高価であり、割れや縮小によるメンテナンスのためのコストがかかります。
複合フローリングは加工により色や模様が調整されているため、デザイン性で単層フローリングに劣ります。しかし、画一化されている分安価であり、メンテナンスがしやすくなっています。また、複数の木材を重ねる加工により、副次的に傷や熱に強いメリットもあります。
クッションフロア
塩化ビニルから製造されるシート状の仕上げ材で、「CFシート」とも呼ばれます。接着剤で床に固定するだけで施工できるため工賃が安い、防水性に優れるため水回りに使いやすいなどのメリットがあります。
畳
い草から製造され、和風の部屋に使用されることの多い床材です。断熱性や除湿性に優れるものの、日焼けや摩擦によって劣化が生じやすい特徴があります。耐用年数が長いため、日焼けを風合いとして活かせるならばコスパに優れた床材といえます。
タイル・レンガ
幅広い場所に施工できるのが特徴の汎用性の高い素材です。しかし、使用数が多くなると費用がかさむため、予算を考慮して施工する場所を選ぶ必要があります。
塗り壁
漆喰、珪藻土などの自然素材を塗り固めて壁に施工するものです。和風デザインの店舗で人気が高く、防火・防音性に優れるメリットもあります。しかし、汚れが落としにくい、仕上がりが職人の腕に左右される、施工期間が長く工賃も高くなるなどのデメリットも多い点に注意が必要です。
まとめ
内装材は建物の天井や壁、床などに使う材料で、下地材と仕上げ材の2種類に分かれます。
各素材ごとに性能が異なるため、自分の店舗にはどの素材が向いているのか特徴を把握するようにしましょう。
防音性や耐火性などのメリット、工期や費用などのデメリットをしっかりと理解すれば、場所ごとに適した素材を選択することができるでしょう。