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消防法による内装制限とは?建築基準法との違いや緩和策も解説

内装工事
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店舗の内装工事をおこなう際は、消防法による内装制限を守らなくてはいけません。 この記事では、消防法による内装制限とは何かという基本から、制限の内容と対象となる建物、緩和策までを解説します。

消防法による内装制限とは

内装制限とは火災による建物への被害を最小限に抑え、人命を守るために定められている内装施工の規定です。「建築基準法」と「消防法」の2つの法律から成り立っており、建築基準法では火災の初期段階における安全避難(避難の誘導)を、消防法では火災の予防・初期消火・人命救助・本格消火を目的とした取り決めがなされています。
消防法による内装制限に違反した場合、故人ならば1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合は3000万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

消防法における内装制限に該当する建物

消防法で「防炎防火対象物」と定められた建物は内装制限に該当します。

○消防法第8条で定められた建物

高層建築物(高さ31mを超える建築物)
地下街

○消防法施行令で定められた建物

劇場、映画館、演芸場又は観覧場
病院、診療所、助産所
老人ホーム、デイサービス
飲食店
ホテル・旅館

消防法による内装制限の内容

建築基準法による内装制限との違い

建築基準法による内装制限の場合、「床面からの高さが1.2メートル以内(腰壁)」は、内装の仕上げ材に難燃以上の防火材料を使用しなければいけない範囲から除かれていました。 しかし、消防法による取り決めでは、腰壁であっても難燃以上の防火材料を使用することが定められています。消防法では壁全面が内装制限の対象となる点に注意しましょう。

消防設備の設置

消防法では「消火設備」「警報設備」「避難設備」の3種の消防設備の設置が定められています。

・消火設備:水や消火剤により、火の消火をするための設備。屋内消火栓設備や、スプリンクラー設備など。
・警報設備:火災が起きた際に屋内外に知らせ、消防に火災を通報するための設備。自動火災報知設備、非常警報設備など。
・災害が起きた際に建物内の人が屋外へ避難するための設備。誘導灯や避難はしごなど。

内装制限の緩和策

消防法による内装規定は人命を守るために定められており、必ず守らなければいけません。しかし、内装制限を遵守した際に店舗のデザイン性が制限されることもあるでしょう。内装制限にはいくつかの緩和策が設けられています。「コンセプトを実現するために店舗の壁に木材を使用したい」などの場合には、デザイナーとも相談しながら以下の緩和策を検討してみましょう。

天井の高さを6メートル以上にする

火災が起きた際、煙は下から上へと上がっていきます。天井が高くなっていれば床付近に煙が満ちるまで時間がかかり、避難のための時間が確保できるため内装制限が緩和されます。

天井の素材を準不燃以上の防火素材にする

防火素材とは国土交通大臣が定めた材料または認定した材料で、加熱開始から燃焼し始めるまでの時間が20分ならば「不燃材料」、10分ならば「準不燃材料」、5分ならば「難燃材料」と分けられています。

火災の火が天井に燃え広がった場合は消火が難しくなり、天井が崩れたり他のフロアに引火したりする恐れがあります。天井に不燃素材もしくは準不燃素材を使用した場合、内装制限が緩和されます。

スプリンクラーと排煙設備を設置する

スプリンクラーと排煙設備が設置された部分は内装制限が緩和されます。ただし、排煙設備については建築基準法の取り決めも遵守する必要があるため、デザイナーとも相談しながら設置を進めましょう。

まとめ

内装制限とは人命を守るために定められている内装施工の規定で、「建築基準法」と「消防法の」2つの法律から成り立っています。
消防法による取り決めでは「床面からの高さが1.2メートル以内」であっても難燃以上の防火材料を使用することが定められており、壁全面が内装制限の対象となります。
内装制限には緩和策もあります。店舗デザインにこだわりたい際は、デザイナーとも相談しながら緩和策を検討してみましょう。

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