建築基準法による内装制限とは
内装制限とは、建物内部で火災が発生した際に火災の拡大や有毒ガスの発生を抑えること、内部にいる人の避難を妨げないことを目的として建築基準法で定められている内装施工の規定です。建築基準法の内装制限を守らないと「違反建築」となり、個人の場合は懲役3年以下または罰金300万円以下、法人の場合は1億円以下の罰金が課せられる可能性があります。
内装工事をおこなう際は内装業者に任せきりにせず、オーナーさん自身も内装制限について知識を深めることが大切です。
内装制限の内容
内装材の制限
内装制限の対象となった場合、内装に使う素材は防火素材を使用しなければいけません。 防火素材とは国土交通大臣が定めた材料または認定した材料であり、加熱開始から燃焼し始めるまでの時間によって3種類に分けられています。加熱開始から燃焼し始めるまでの時間が20分ならば「不燃材料」、10分ならば「準不燃材料」、5分ならば「難燃材料」です。
なお、火災がおこった際に煙は下から上へと上がっていくため、床材に使用する素材については制限がされていません。
店舗が内装制限の対象となるか確認する手順
1.特殊建築物に当てはまるか確認する
特殊建築物とは、建築基準法において一般の建築物よりも強い制限を課す建築物です。用途によって次のように分類されています。A:劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
B:病院、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
C:百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、飲食店、物品販売業
D:自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ
これより先は店舗をオープンしたいと考えている多くの方が当てはまるであろう、Cのケースの特殊建築物を想定してご説明します。
2.店舗物件の耐火建築物のレベルを調べる
耐火建築物のレベル、階数、床面積によって内装制限の対象となるかが決まります。賃貸契約書を確認したり建物のオーナーさんに問い合わせたりして、最初に建築物のレベルを把握しましょう。
耐火建築物のレベルは、火災が発生してから燃えるまでの時間によって「耐火建築物」「準耐火建築物」「準耐火建築物(イ)」「その他の建築物」に分類されます。
3.階数や床面積と照らし合わせ、内装制限の対象か確認する
耐火建築物のレベルが把握できたら、建物の階数や床面積と照らし合わせましょう。内装制限の対象となるのは以下のパターンです。
・耐火建築物で3階以上の床面積1000㎡以上
・準耐火建築物(イ)もしくは準耐火建築物で2階の床面積500㎡以上
・その他の建築物で床面積200㎡以上
4.内装制限を確認する
Cのケースとして特殊建築物に当てはまった場合、以下の制限がかかります。・居室等では、壁に難燃以上の素材を使用する(床面上1.2mを除く)。天井には難燃以上の素材を使用する(3階以上に居室を有する者は準不燃以上)
・通路・階段等では、壁・天井ともに準不燃以上の素材を使用する
※注1:店舗が地下にある場合
店舗が地下にある場合は、耐火建築物のレベルや床面積に関わらず以下の内装制限がかかります。・ 居室、通路・階段等のいずれにおいても、壁・天井ともに準不燃以上の素材を使用する
※注2:特殊建築物でなくとも、内装制限の対象となる場合がある
借りる物件の階数と延べ面積によっては、特殊建築物でなくとも内装制限の対象となります。○条件
・階数が3階以上で延べ面積が500㎡以上
・階数が2階で延べ面積が1000㎡以上
・階数が1階で延べ面積が3000㎡以上
○内装制限
・居室等では、壁に難燃以上の素材を使用する(床面上1.2mを除く)。天井には難燃以上の素材を使用する(3階以上に居室を有する者は準不燃以上)
・通路・階段等では、壁・天井ともに準不燃以上の素材を使用する
※注3:火を使う部屋がある場合
厨房などの火を扱う部屋も内装制限の対象となります。○条件
・自宅兼店舗の場合、最上階以外の火気使用室
・店舗の火気使用室(主要構造部を耐火構造とした建築物を除く)
○内装制限
・居室等では、壁・天井ともに準不燃以上の素材を使用する
まとめ
内装制限は火災が燃え広がるのを防ぎ、避難をスムーズにするために定められた内装施工の規定です。お客様と従業員の命を守るためにも、内容をしっかりと理解しましょう。